文章を書くときは文章を書くことしかできない、という話

たまに動画サイトやSNSで、イラストレーターの方が配信しながら、視聴者さんと会話しながら絵を描いているのをみかける。

それを見るたびに「ああ、うらやましいなぁ」と思う。文章を書いているときは、文章を書くこと以外に何もできないからだ。

おそらくなのだが、脳の中で「言語を使って思考する部分」と「身体を動かす部分」は領域が別で、同時並行で動かすことができるのだろう。

だから絵を描くとか、楽器を演奏するとか、料理をするとか、片付けをするとか、身体動作によってなんらかのアウトプットが発生する作業では、「ながら作業」みたいなことができるのだろう。

文章を書くときは、ただそれしかできない。

自分の場合は、音楽を聴きながら文章を書くこともできない。何かを食べながらも書けない。

なんなら、さらさらと(実際はPCのキーボードなのでかちゃかちゃと)文章がアウトプットできているならいいのだが、このシーンどうしようとか、この描写どうしたもんかと考えているとき、じーっと考え込む必要が出てくるので、考える以外になにもできない、という感じになってしまう。

できることを強いて挙げるなら、爪をいじってみたり、立ち上がってその辺を軽くうろうろしてみたり、ぼんやりと天井を眺めてみたりする程度である。

それに、文章を書く前は、あまり他人と喋りたくないものだ。誰かと会話すると、自分の書き言葉のリズムや流れが乱されるような感じがしてしまう。

なんなら、「数時間後に人と会う用事がある」というだけでもなんかちょっと書きにくい感じがする。「あれとこれについて話して、あれを確認して……」みたいなのを頭の中で整理しているだけで、どうしても書き言葉のリズムが遠ざかってしまう。

文章を書くのは、ほんとうに孤独なことだ。だからこそ誰かに届いたなと思えたときは本当に嬉しいのだけれど。

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