もう話題が、完全におっさんのそれだ。
漢方が、めちゃ効く。
思えば、20代の頃にゲーム会社に勤めていた頃に同じチームの40代の人が「漢方がいちばんいいぞ!」と言っていたのを記憶している。
ゲーム業界は(それもソーシャルゲームの現場は)なかなか過酷で、20代後半〜30代前半で私も激務に激務を重ね、ねじ切れるような身体酷使を続けてきた。
その大変さをなんとか緩和しようと20代後半くらいから徐々にサプリやマッサージに始まり、整体や鍼、健康食品などあれこれ手を出してきた。そのだいたいが気休めで、最初はなんかこれいいかも? と思うのだが徐々に効かなくなってくる。
歳をとるにつれて、ちょっと揉んだり栄養補給したくらいで回復するような疲れではない、砦のような強固な疲れが体の中にできあがり、簡単には打ち崩せなくなってしまう。
そうなると、どれだけ寝ても回復しきらない、ということになる。なんなら長く寝れないし、頑張って長時間寝てもちょっと体調が悪くなる。バッテリーが終わっているスマホみたいにどれだけ充電しても60%くらいまでしか充電が貯まらない。
そんなある日、奥さんから「漢方を試し出したらいいからあなたも行ってみたら」と言われ、ちょっと悩んだが試してみることにした。
悩んだ理由としては、費用が結構かかるのである。だいたい月に2〜3万円くらいかかる。これはなかなか試してみるのも大変な額である。
その高価な「煎じ薬」は、30分くらいかけて煮出す手間もかかる。奥さんが飲んでいる漢方薬を日々見てたのだが、「漢方」のイメージそのままの、苦くて、えも言われぬにおいがする真っ黒な液体を、毎日コップで2杯くらい飲むことになる。同じ薬で錠剤や粉薬もあったりするのだが、圧倒的に煎じ薬のほうが効果が高いということだ。これを続けるのはなかなかの覚悟である。
が、それを三ヶ月試した奥さんがものすごく効果を実感していたのも見てきていた。なんなら、目に見えて肌がツヤツヤしてきている。表情まで明るくなっている気もする。
「それなら……」という思いで、試してみることにした。そもそも、鍼に言ったりなんだりかんだりで2万円くらいは毎月使っていたわけで、漢方でまるっと解決できるならコスパ的にも安いくらいだった。
それで、なんとか(奥さんが毎日、煮出してくれたのもあり)三ヶ月続けてみたのだが……めちゃ効いた。全身の疲労感だけでなく、腰痛、目のかすみ、浅い睡眠、下半身の冷えなども改善してきた。いまでは漢方を飲まないで寝ると、まるで家の屋根がなくなってしまったような不安を覚えるまでになった。
先生曰く、自分の場合は「腎虚」と呼ばれる状態であったそうで、それにアプローチする処方をしていただいたとのことである。
東洋医学というのは面白いもので、人間の体を抽象的にとらえて、本来持っている自然治癒能力を改善させていくらしい。通常の病院では「疲れた」とか、「やる気が出ない」的なものは病気とみなされにくいけれど、そういった「未病」といわれる病気以前の状態へのアプローチを得意としている。そういう、ちょっと不思議でとらえどろこがない感じも、個人的に好きだ。
というわけで私の30代後半は、毎日8000歩の歩行、ジム通いに、漢方を足した三本柱によって徐々に、若い頃の無茶からくる心身摩耗を回復していっている……はずだと、思いたい。