起きてから、ネガティブなことしか考えられない朝がある。
今日がまさに、その日だった。
仕事の悩みとか、お金とか将来の不安が次から次に湧き出てきて、それどころか学生の頃の嫌な思い出とか、十年以上前のバイト先での嫌なできごとなどなどがあふれんばかりに思い出されてくる。
ああ、自分なんて本当にどうしようもない存在だなぁ……と、淀んだ沼の水が胸に溜まったかのような、どうしようもなく不快な心地から、どうにも抜け出せない。
そういう時「自分はネガティブな性格のかな〜」とか考えたりもしたが、別に毎日というわけでもないし、なんなんだろう……とか思っていたが、結婚して食生活や運動習慣を改善していくうちにそういう朝は極端に減っていった。
三十路も半ばくらいになって、「あ、ネガティブな時って、ただ体調が悪かっただけなんだ!」ということに気づいたのだ。……そう、今日は二日酔いだっただけなのだ。
どうやら心は、若い自分が考えていた以上に、身体の影響をうけるものらしい。20代の頃は自分の運動習慣とか、睡眠時間とか、食生活とか、意識をほとんどむけなかった。若いと体力があるから、そういうものにいちいち気を配らなくても、まぁそれはそれで、なんとかなっていたのだ。
僕の弟は20代でアメフトの一部リーグでプレイするくらいハードにスポーツをしていたのだが、その時に「日々の食べているものとか、前日の行動とかで体調が全然違う」みたいなことを言っていたのを覚えている。やはり細やかな体調管理の意識が高い人は、若い頃からでもちゃんとそういうのに気づくのだろう。僕はその話を聞いても「ふーん?」くらいのものだった。
しかし、30も半ばを過ぎた頃になって、生活習慣に気を配ることで得られるメリットがどんどんと大きくなってきて、やっとこさ当たり前の事実の重要性に気づいた次第である。
そういうことを考えていくうちに最近、自分が今後も社会人として成長していく上では、「自分の能力ではなく、体調に意識を向けたほうが、結局は能力向上に寄与しやすいのでは」と思うようになってきた。
20代の頃はピカピカの新車みたいなもので、アクセルを踏み込んでいればそれでガンガン前に進んでいくことができた。けれど、30代も半ばを過ぎた今は、「もっと速く走らなきゃ、遠くへ行けないぞ!」と焦って飛ばすよりも、「タイヤがパンクしたり、ガス欠にならないように、時々は車を止めてメンテナンスしながらマイペースで進んでいこう」と考えたほうが、結局はずっと遠くまで行けるような気がしている。
自分の周囲を見渡してみるとやっぱり、そういう人が成果を出している。
体調に気を使えなかった頃の自分は、自分を大切にする方法がわからなかったのかもしれない、と思う。今はもう少し、自分を大事にしてあげる生き方がしたいし、結局はそうすることで、自分では信じられないくらい遠くへ行けたりする気がしている。